【皇位継承問題その1】「皇位は古来例外なく男系」ではない!日本は古来『双系』!!

皇室は断絶の危機にある!

2000年近く続いた皇室は現在、断絶の危機に直面しています。現在の皇位継承ルールでは男系男子しか皇位を継げないからです。皇位継承者は将来、悠仁殿下お一人だけになります。

そこで皇室典範を改正し皇位継承資格を広げる必要があります。その方法は大まかに言えば二つあり、一つは皇位継承資格を女性・女系に広げる、もう一つは戦後に皇籍を離脱した、いわゆる旧11宮家の男系男子を皇籍に入れる、という方法です。後者が旧宮家復帰案で、皇位継承資格をあくまで男系男子に限定しようという考え方です。

皇位継承を安定化させるのであれば、男子でも女子でも継承できるよう女性・女系を容認すればよいと思えますが、旧宮家復帰案を支持する意見も有力です。

旧宮家復帰案を支持する「男系論者」は、皇位は古来例外なく男系でつないできた、と主張します。「男系継承は日本の伝統」。これが、旧宮家復帰案が支持される一番の根拠です。

しかし、「皇位は古来例外なく男系でつないできた」というのは本当でしょうか?

男系・女系の意義

まず「男系」「女系」とは何でしょう?

令和3 (2021)年開催された「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法』に関する有識者会議」の報告書*1によれば、男系とは「父方のみをたどることによって天皇と血統がつながること」とあり、男系論者もおおむねこの意味で使用しています。だしかに126代の天皇の父方はみな天皇や皇族なので、「皇位は古来例外なく男系」という男系論者の主張は、一見すると正しいとも思えます。私もはじめはそう思いました。

しかしこちらの辞典によれば、男系とは「男子の方のみを通してみる血縁の系統的関係」とあります。

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たしかにフランスや中国、李氏朝鮮時代の韓国など男系の国々の君主はみな男子のみで継承されています。そうなると、過去に8人10代の女性天皇がいる我が国は「古来例外なく男系」ではないということになり、男系論者の主張は誤りとなります。

このように政府や男系論者のいう「男系」は一般的なものでなく、意味を広げて使用していることがわかります。男系論者のいう「男系」は、正確には「父系」という意味です。[「古来例外なく男系」の国が「男系」という言葉を正確に使いこなせていない。「古来例外なく男系」は、はなはだ怪しいと言わざるをえません。

では「父系」を「男系」と置き換えたとしても、「皇位は古来例外なく男系(=父系)」なのでしょうか?じつは、これも違います。母方からたどっても天皇と血統がつながるケースが多々あるからです。

かつては皇族どうしの結婚が多かったためにこのようなケースが生じました。有識者会議も男系論者も論理が破綻しているのです。

では「女系」とは何でしょうか?

さきほどの辞典によれば、「厳密には女子だけを通じた血族関係をいうが、広く中間に一人でも女子の入った、男系でない血族関係」とあります。

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つまり、厳密には「女(母)→女(母)→女(母)…」とたどるのが女系ですが、広い意味では「女(母)→男(父)→女(母)…」「女(母)→女(母)→男(父)…」「女(母)→男(父)→男(父)…」など非男系の血族関係も女系と呼ばれます。

日本は古来『双系』

そうすると、先ほどの父方母方どちらからでもたどれる天皇は男系でもあり女系でもある、逆に厳密に言えば男系でも女系でもないという言い方もできます。この男系でも女系でもないものは一般に「双系」といわれます。双系を平たく言えば、「父子関係と母子関係のいずれをも社会的に承認された親子関係」*2とし、「『男系(父系)』だけでなく『女系(母系)』も機能し得る」*3ものです。

確かに、中国から律令が導入される以前は「物部『弓削』守屋」のように父方母方両方の氏で呼ばれることがあり、男系女系があいまいでした。平安時代以前は夫が妻のもとへ通う妻問婚(訪婚)が一般的で、子どもは母方で養育され、鎌倉時代までは女子にも相続権がありました。そう考えると日本はもともと双系の社会なので、男性女性、男系女系関係なく継承できるとするのが日本古来の伝統といえます。実際、「継嗣令」という古代の法令には「天皇の兄弟、皇子は、みな親王とすること(女帝の子もまた同じ)」とあり、女性天皇の子も男性天皇の子と同等に扱われていました。また天智天皇元正天皇のように母方から皇位を継承した天皇もいらっしゃいます。日本の男系が確立したのは、旧皇室典範が制定された明治時代であって、たかだか130年程度の歴史しかありません。それ以前は父方継承、母方継承どちらも可能な双系継承だったのです。

そもそも皇室の先祖は天照大御神という女の神様です。126代のどの天皇も父方のみをたどっては天照大御神につながりません。「男系継承は日本の伝統」という男系論者の主張は日本神話と矛盾します。そもそも男系の国が女の神様を先祖として仰ぐことなど考えられません。こんなことは少し常識を働かせればわかることです。実際、先祖は女性・女神だけど男系、などとのたまっている国を他に知りません。こんな非常識なことを言っているのは日本の男系論者だけではないでしょうか?

以上から「皇位は古来例外なく男系でつないできた」が誤りであることがわかると思います。だから女系を容認しても日本の伝統に反しない、というよりむしろ「双系」という日本古来の文化を復活させることになるのです。

 

Youtubeでも視聴可能

ゆっくりムービーでもご覧いただけます。説明の順序は異なりますが、内容的にはほぼ同じです。皇位継承の問題を楽しく学べるので、よろしければ見てやってください。

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